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吉岡牧場 吉岡滋
熊本県 合志市 母牛:120頭、子牛:50頭 取材日:2025年11月12日
倒れて見えた、新しい道
記者「吉岡さんが畜産の道に進まれたきっかけについてお伺いしたいんですが、最初は何をされていたんですか?」
吉岡さん「もともとは建設業に携わってたんですけど、仕事中に事故に遭ってしまって…。そのときに“もう現場には戻れないかな”と思って。それで、実家が牛を飼っていたこともあり、“じゃあ自分も牛飼ってみようか”と決意しました。少しは“いつかはやるんじゃないか”という気持ちはあったんですが、その事故が本格的に畜産へ舵を切る転機になりましたね。」 記者「それは大きな転機だったんですね。始めた当初は何頭ぐらいの牛からスタートされたんですか?」 吉岡さん「最初は8頭ほどでした。当時23歳くらいで、今から12〜13年前の話になります。右も左もわからず、まさに手探り状態。でも機械の扱いは建設の現場で慣れていたので、そこはちょっと強みでした。少しずつ覚えながら、牛たちと一緒に成長してきた感じですね。」 記者「それから牧場もどんどん大きくされて、今ではかなりの頭数を飼われていると聞きましたが、一番大変だったことは何ですか?」 吉岡さん「やっぱり資金繰りですね。牛舎を新しく構えたときも、以前の牧場主から受け継いだ土地を、自分たちで一から整備しました。この場所も、もとは草だらけで人の手が入ってない状態でした。それを一から整備して、牛を迎え入れられるようにしたんです。牛を増やすには牛舎も広げないといけない。理想と現実の間で、常にバランスを取りながらやってきました。」 記者「なるほど。牧場の牛舎について、何か特にこだわっているポイントはありますか?」 吉岡さん「運動場の広さですね。うちは牛がよく歩けるように広く確保していて、放牧しなくても運動になるくらいのスペースがあります。もともと草が生い茂ってて向こうが見えないくらいの土地でしたが、そこを借りて、自分たちで手を入れて牛が快適に過ごせる環境にしました。運動場が広いと牛の健康状態もいいし、分娩も自然に任せられることが多くて助かってます。」 記者「お話を聞いていると、着実に一歩ずつ積み上げてこられたんだなと感じます。今後、牧場をどうしていきたいという思いはありますか?」 吉岡さん「これ以上大きくするつもりはあまりないですね。今は自分一人でやってる部分が多いですし、無理に規模を広げても管理が難しくなるだけかなと。もし息子が継ぐって言ってくれたら、その時はまた違った形になるかもしれませんが、今は今のペースでやっていくつもりです。家族の手を借りながら、自分たちらしい牧場経営を続けていきたいですね。」 現場の声が一番の教科書
記者「吉岡さんの牛の育て方について、特に日々気をつけていることやこだわりがあれば教えてください。」
吉岡さん「一番大事にしとるのは“毎日の観察”です。餌をやる時に、1頭でも様子がおかしい牛がおればすぐに気づけるようにしとります。特に、餌を食べに来ない牛は要注意ですね。熱を測ったり、必要があれば別の部屋に移すようにして対応します。毎日見とると、ちょっとした変化にもすぐ気付けるようになるんですよ。」 記者「牛舎の設計や環境面でもいろいろと工夫されているようですね。どんなところに配慮されているんですか?」 吉岡さん「本当は朝日が当たって、西日が当たらんような牛舎が理想なんですけどね。うちは前の牧場主さんから買い取った牛舎なんで、それが難しくて。西日が当たる部分にはギア(よしず)をつけたり、雨の日はカーテンで雨が入らんようにしたりして工夫してます。特に子牛には朝日を当てたいっていう考えがあるけん、将来的には別に牛舎を建てて、子牛専用にしようかと考えとります。」 記者「音楽を流して牛たちをリラックスさせる工夫もされているとお聞きしました。」 吉岡さん「はい、ずっとラジオを流してます。牛が急に音に驚いたりせんようにっていうのもあるし、酪農でも“音楽聴かせると牛乳がよく出る”って話を聞いたことがあって、和牛でも効果あるかもしれんと思ってやり始めました。今ではすっかり習慣ですね。静かすぎると逆に落ち着かん時もありますしね。」 記者「餌についても工夫されていると伺いました。特に“ぐんぐんエース”や“FMB”という名前が出てきましたが、詳しく教えていただけますか?」 吉岡さん「“ぐんぐんエース”は3~5ヶ月の子牛に食べさせとります。これにはモネンシンが入ってて、体が大きくなりやすく、体重もスッと乗ります。ただ、それを9ヶ月10ヶ月までずっと与えると“モネンシンショック”が出る恐れがあるので、うちは5ヶ月で徐々に切り替えます。いきなりやめると下痢したりするので、パラパラと減らしていくんです。FMBはバガスや麦、とうもろこしが入った飼料で、消化が良くて胃袋の“センマイ”もよく育つ。オスにはがっつり食べさせますが、メスには太りすぎないように加減してます。」 記者「吉岡さんの畜産技術は、ご両親から教わったものなんでしょうか?」 吉岡さん「いや、親からはほとんど教わっとらんです。全部ほぼ独学ですね。あと、大きかったのは“飲み会”での学びです(笑)。繁殖農家さんや肥育農家さんたちと酒飲みながら、どんな牛がいいとか、今どんな交配が人気あるとか、リアルな情報を聞くんですよ。現場の声ってやっぱり本で読むよりずっと勉強になるけん、今でも続けてます。」 一歩踏み出せば道はできる
記者「吉岡さんがアソードを導入されたきっかけは何だったんですか?」
吉岡さん「最初は営業の方が持ってきてくれて、“一回試してみてください”って言われたのがきっかけです。ちょうどその時、子牛が下痢してて、試しにアソードを使ってみたら、フンが黒くなって調子が良くなったんです。そこから“これはいいかも”って思い始めて。最初はミルクに混ぜたりもしましたけど、今は夕方だけ食べさせて、それで下痢も治まったので、アソードに切り替える決断をしました。」 記者「なるほど。導入してすぐに効果を感じられたんですね。食べさせ始めの頃に“なかなか食べてくれなかった”というお話もありましたが、どうやって食べさせるようにしたんですか?」 吉岡さん「最初はなかなか食べない子もいました。でも、うちでは“はぐくみ”っていう粉の餌の上にアソードをちょっとずつ混ぜて、“隠すように”してやったんです。最初は手で混ぜて、その上から少しずつ振りかけるようにして。そうするとだんだん慣れてきて、ある日突然ガッツリ食べるようになりました。あとは、1頭だけじゃなくて、数頭一緒に飼ってると競争意識が働いて自然と食べるようになるんですよ。」 記者「実際にアソードを使ってから、どんな変化を一番感じていますか?」 吉岡さん「やっぱり一番は“下痢が少なくなった”ことですね。フンも黒くて健康的やし、匂いも全然違う。前は牛舎に入った瞬間、ツンとする匂いがあったけど、今はそれがほとんどしません。見学に来た人にも“匂いがしませんね”ってよく言われます。やっぱり腸の調子が整っとる証拠なんじゃないかなと思ってます。また、先日アソードを食べさせていた母牛から採卵したのですが、Aランクの卵が28本も取れました。今までの過去最高は24本だったため、最高記録を更新することできました。後で聞くとアソードを使っている牛から採卵すると卵の状態が良くなっている事例が報告されていると聞き、やっぱり間違いないなと実感しました。」 記者「最後に、吉岡さんの座右の銘を教えてください。」 吉岡さん「“やればできる”ですね。昔から親父にも“せんことには何も進まん”って言われとって、実際に牛舎を買う時も“まずやってみるしかない”って気持ちで決断しました。投資も大きかったけど、やるって決めたらどうにかなるもんです。やっぱり、行動せんと何も変わらんですけん。」 FMB
『FMB』はバガス、麦、とうもろこしなどをバランスよく配合した高消化性の飼料で、特に牛の第四胃“センマイ”の発達を促す効果があります。吉岡さんはこの飼料をオス牛にはしっかり食べさせ、筋肉質で大きく育てる一方で、メス牛には太りすぎないよう量を調整して与えているとのこと。胃の健康と消化力の向上を重視する飼養管理の一環として、FMBは重要な役割を果たしています。
ぐんぐんエース
生後3〜5ヶ月の子牛の健やかな成長を支える『ぐんぐんエース』は、体の成長を促す“モネンシン”を配合した飼料です。吉岡さんの牧場では、子牛の体重がスムーズに増え、骨格のしっかりした育成につながっていると実感されています。ただし、長期間与え続けると“モネンシンショック”と呼ばれる影響が出る可能性があるため、5ヶ月を過ぎた頃から徐々に減らしていくのがポイント。急にやめると下痢を起こすこともあるため、慎重に切り替える工夫が大切だといいます。
アソード
営業担当者の紹介で試験的に導入された『アソード』は、子牛の下痢対策として始まりました。吉岡さんは「最初に与えた時、フンが黒くなって調子が良くなった」と効果を実感し、夕方の給餌に取り入れるように。現在では下痢の発生も抑えられ、安定した育成ができているそうです。導入初期は食いつきが悪い子牛もいたものの、粉飼料「はぐくみ」に混ぜて少しずつ慣らす工夫を重ね、複数頭で飼うことで自然と食欲を引き出すことに成功。今では牛舎の匂いも軽減され、「見学者に“匂いがしないですね”と言われるほど」と話す吉岡さん。腸内環境の改善が牛全体の健康に直結していることを実感されています。
Writer_T.Shimomuro
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壱心farm 基山美奈子
鹿児島県 大島郡(伊仙町) 母牛:60頭、子牛:45頭、闘牛:3頭 取材日:2025年8月21日
血を選び、代を重ねて、形にする
記者「基山さんの牧場での“こだわり”について教えてください。」
基山さん「うちは繁殖農家として、母体作りに一番力を入れています。種付けして、良い子牛を生ませるのが仕事の要。だからこそ、基礎となる母牛の血統や体調管理には特に気を使っています。自分が肉牛を始めた当初から血統重視でやっていて、その血を受け継ぐメス牛を残して代を重ねていく。今の牧場は、そうやって作り上げてきた形なんです。」 記者「特にどの血統を使っているんですか?」 基山さん「一番の柱は“安福久”の血を引いた母体ですね。この牛の力は群を抜いていると思っていて、たまたま人気が出る直前に、うちでメスが立て続けに生まれたんです。その子たちを全部残して増やしていった結果、A5の12番の評価をもらう子牛がどんどん出るようになりました。購買者さんからも“メスが生まれたら必ず保留して”と言われるくらいで、今じゃ繁殖牛の8〜9割が自家産の牛です。」 記者「繁殖成績もすごく良さそうですね。」 基山さん「おかげさまで、2023年は分娩間隔が365日できていて、翌年は372日と安定した成績を出せています。出産後すぐには無理をさせず、発情2回目、だいたい30〜40日目あたりで子宮の回復を見て種付けします。一年一産はもちろん、より早いペースでまわせるようになってきているので経営的にも助かっています。ここは本当に慎重に、でも着実にやっている部分です。」 記者「種の付きやすさについてはいかがでしょうか?」 基山さん「だいたいの牛は1回、長くても2回でついてくれます。もちろん例外はあって、4〜5回かかる子もいますが、全体としては優秀だと思いますね。これは母体の質と、受精師さんの腕の両方に助けられている部分だと思います。あとは栄養管理も大事で、うちでは青草よりもロールサイレージが多い分、ビタミンが不足しがちになるので“ビタラップ”というサプリを産後2週間に1回は欠かさず与えています。」 記者「闘牛についても飼育されていると聞きました。こだわりはありますか?」 基山さん「闘牛は義父の代から続けているんですが、うちのこだわりは“自家産”であること。他の牧場から牛を買ってくることなく、自分たちの牧場で生まれたオスをそのまま闘牛として育てていくスタイルです。闘牛の血を引く無登録メス(血統登録のないメス)に種をつけて、そこから生まれたオスを選抜して投入しています。特に、かつて『第2勝王号』という登録牛を闘牛の母体に掛け合わせて生まれた牛が、全島一になるほどの活躍をしてくれたことは、うちの誇りですね。」 “一勝”の先にある、“壱心”の物語。
記者「壱心ファームさんの牧場について教えてください。牧場を立ち上げられたのはどなたですか?」
基山さん「私が初代になります。特に大きな牛舎というわけではありませんが、自分の手の届く範囲で、しっかり牛を見ながらやっていける規模を大事にしています。畜産を始めたきっかけは、もともと家が闘牛一家で、毎日草を刈るなら、その草も無駄にせず、登録牛を飼って少しでも収入につなげたいと思ったからなんです。趣味の延長のようなスタートですが、今では大切な仕事になっています。」 記者「闘牛は昔からやられていたんですね?」 基山さん「そうですね、嫁ぎ先が、闘牛一家だったので、自然と牛も家族の一員のような存在になってましたね。家族全員で牛に愛情を注いで育ててきました。時には、自分たちの子供よりも牛を大切にしている…というと語弊がありますけど、それくらい牛に情熱を注いできたんです。勝てる牛を育てる、その夢があるからやめられないんですよ。」 記者「壱心ファームという名前にも意味があるんですよね?」 基山さん「はい、実は孫の名前から一文字ずつ取ってつけました。孫の“壱大”ともう一人のお姉ちゃんが“心彩”という名前でして、その"壱"と“心”を合わせて“壱心”です。家族の思いが詰まった名前なんです。」 記者「息子さんも一緒に牧場をやられていると聞きました。」 基山さん「そうなんです。ちょうど2年前の9月に長男が夫婦で帰ってきてくれて、一緒に牧場をやってます。まだ子供はいませんが、いずれ次の代に繋がってくれればという思いもあります。ただ、私たちの役目は息子にしっかりバトンを渡すこと。あとは息子たちが先のことを考えてくれればいいかなと思ってます。」 記者「闘牛の今後の目標などがあれば教えてください。」 基山さん「今、闘牛が3頭いますが、まずは“1勝”が目標ですね。自信のある牛がいて、1勝1敗の成績なんですけど、稽古中に角を折ってしまって…3分の2くらい失いました。でも、やる気はあるので、治ったら復活させたいです。もう一頭はデビューが早すぎたのか、喧嘩をしなかった子で、相手の不戦勝になってしまいましたが、今一番期待している牛です。体重は900kgくらい、中量級でチャンピオンを狙える器だと思ってます。」 記者「牧場で使っているおすすめの道具やアイテムがあれば教えてください。」 基山さん「“アベイラ4”という添加剤ですね。ジンプロという会社の製品で、これを使い始めてから繁殖成績がグッと上がりました。価格は30kgで36,000円ほどと高めですが、与える量は1日10〜30g程度なので、意外と長持ちします。発情がわかりづらかった牛が明らかに変わって、今ではほとんどの牛が1〜2回で種が付きます。導入前は3〜4回が当たり前だったんですけどね。今ではピンポイントで体調に不安のある牛に使うようにしていて、結果にも満足しています。」 “できるか”より、“やるか”
記者「壱心ファームさんでは、アソードという飼料をかなり前から使っていただいていると聞きました。導入のきっかけは何だったんでしょうか?」
基山さん「きっかけは、慢性的な下痢が止まらない子牛がいたことです。何をやっても食欲がなく、特に濃厚飼料を食べてくれなくて、身もつかない状態でした。そんな時に知人から『これ、いいよ』と紹介されたのがアソードでした。試しに飼槽にポンと置いてみたら、下痢の子が舐めてくれて、それをきっかけに濃厚飼料も食べるようになったんです。その子は痩せてましたが、なんとかセリに出せて、これには本当に助けられました。」 記者「その子はその後、どうなったんですか?」 基山さん「その子はセリではそんなに高値はつきませんでしたが、出荷された先でグングン伸びて、最終的には体重800kg超え、枝肉で500kg以上になったと聞いています。本当に奇跡のような成長でした。腸内環境が整ったおかげで、後の伸びに繋がったんだと思います。」 記者「それはすごいですね。熊本でも『アソードをあげた牛は伸びる』って話をよく聞きますけど、壱心farmさんもまさにそれですね。他にも印象に残っているエピソードはありますか?」 基山さん「同じように慢性下痢のメスがいて、売っても値段がつかないだろうから保留したんです。アソードをあげ続けていたら、みるみるうちに体調が改善して、登録時には立派な体型に成長してくれて。1回で種もついて、今ではうちの優秀な母牛のひとつになってます。その子の子牛も残すほど良い血統に育って、今じゃ“ばあちゃん牛”として活躍してくれています。」 記者「長く使われてきた中で、使っている時と使っていない時での違いを感じたことはありますか?」 基山さん「実は導入の牛で下痢がひどくなった子がいたんです。今も体つきがガリガリで…。その時アソードが切れていたんですよね。『あの時にあげていたら…』って今でも思います。やっぱり腹づくりや体調管理には大きく関わってくると実感してます。」 記者「最後になりますが、基山さんの“座右の銘”を教えてください。」 基山さん「『為せば成る』ですね。元々、夫が郵便局員で、私は一人で牛飼いをしていました。女だからできないって言われるのが本当に嫌で、自分で牛舎の屋根を建てたり、トラクターの免許も40歳過ぎてから取りに行ったりしました。お産も、最初は獣医さん頼りでしたが、今では異常じゃない限り、自分で全部やります。子牛を死なせた経験があるからこそ、何としてでも守りたいという思いが強くて…。努力すれば、結果はちゃんとついてくるんです。だから、若い人たちにも『まずはやってみて』と伝えたいですね。」 アベイラ4
ジンプロ社のミネラル添加剤「アベイラ4」は、繁殖成績の向上に効果を発揮するアイテムです。1日10〜30gの少量投与で、発情が分かりにくかった牛にも明らかな変化が見られ、種付けの成功率が向上。以前は3〜4回必要だった種付けが、今では1〜2回で済むようになったと基山さんも実感。高価ながらもコストパフォーマンスに優れ、体調管理にも役立つ心強い飼養サポート製品です。
アソード
子牛の腸内環境を整える栄養補助資材「アソード」は、下痢や食欲不振の改善に効果が期待できるアイテムです。実際に慢性的な下痢で濃厚飼料を食べなかった子牛が、アソードを舐めたのをきっかけに回復し、最終的には800kg超の体重にまで成長した事例もあります。他にも、体調を崩して売れなかったメス牛が母牛として活躍するまでに成長したケースも。継続使用により、腹づくりや食い込みの改善が見られ、牧場全体の成績向上にも貢献。基山さんは繁殖牛への活用も視野に入れており、母体の回復促進や後産停滞予防への効果にも注目しています。
Writer_T.Shimomuro
赤尾牧場 赤尾信一
熊本県 阿蘇市 親牛:11頭、子牛:9頭 取材日:2024年1月30日
ささやかな幸せを守る
記者「赤尾さんの畜産で特に重視されている技術や注意点について教えてください。」
赤尾さん「私たちの牧場では、牛たちの日々の様子を細かく観察することに最も重点を置いています。毎日の観察を通じて、彼らの健康状態や気分を把握し、最適なケアを提供することが私たちの技術の核心です。特に、便の状態や動きの活発さをチェックし、これらの細かな観察から健康な牛とそうでない牛を見分けています。」 記者「観察の中で最も注意を払っているポイントは何ですか?」 赤尾さん「私たちは、便の状態を最も重要な健康指標の一つと見なしています。便の様子から牛の健康状態を判断し、必要に応じて食事の調整やケアを行います。また、牛の動きや行動パターンの変化にも敏感で、これらの細かい変化を捉えることで、早期に健康問題に対処することができます。」 記者「下痢を防ぐために特に心がけていることはありますか?」 赤尾さん「下痢予防には、餌の質と与え方に細心の注意を払っています。牛の体調を日々観察し、その時々の健康状態に合わせて餌を調整しています。特に、ストレスを最小限に抑えることが重要で、それには適切な餌やりや、必要に応じて環境の調整を行うことが含まれます。下痢を防ぐために、日々のケアと観察に注力しています。」 記者「ストレスを管理するために工夫していることは?」 赤尾さん「ストレス管理には、牛が自由に過ごせる環境を整えることが最も効果的だと考えています。私たちの牧場では、牛たちが自由に動き回れる運動場を設け、彼らが自然な状態で生活できるようにしています。朝、気温が上がり始めた頃には、彼らを外に出して新鮮な空気を吸わせ、自然と触れ合う機会を提供しています。このようにして、牛たちがストレスなく健康的に過ごせるよう心がけています。」
Reporter: "Please tell us about the techniques and points of attention that you particularly emphasize in your livestock farming."
Akao: "At our farm, we place the greatest emphasis on closely observing the daily condition of the cows. Through daily observation, we understand their health and mood and provide optimal care. This is the core of our technique. In particular, we check the condition of the stool and how active they are, and from these detailed observations we distinguish healthy cows from unhealthy ones." Reporter: "What do you pay the most attention to in your observations?" Akao: "We consider the condition of the stool to be one of the most important health indicators. We judge the health of the cows from the condition of the stool and adjust and care for their diet as necessary. We are also sensitive to changes in the cows' movements and behavior patterns, and by capturing these small changes we can address health problems early." Reporter: "Is there anything in particular that you pay special attention to in order to prevent diarrhea?" Akao: "To prevent diarrhea, we pay close attention to the quality of the feed and how it is fed. We observe the cows' physical condition every day and adjust the feed according to their health condition at the time. In particular, it is important to minimize stress, which can be achieved by feeding them properly and adjusting the environment as necessary. This includes. We focus on daily care and observation to prevent diarrhea." Reporter: "What do you do to manage stress?" Akao: "I think the most effective way to manage stress is to create an environment where the cows can move freely. At our farm, we have an exercise area where the cows can move around freely, so they can live in a natural environment. In the morning, when the temperature starts to rise, we take them outside to get some fresh air and have the opportunity to interact with nature. In this way, we try to keep the cows healthy and stress-free." 祖父の遺産を受け継ぐ
記者「赤尾さんのおすすめする畜産に関するアイテムや道具があれば教えてください。」
赤尾さん「普段あまり添加剤などは使用しないのですが、おすすめするとしたら阿蘇の赤土の商品である”アソード”ですね。アソードは鉄分を適切に摂取させるための商品です。使い始めて子牛の軟便に締まりが出てきました。まだ使い始めて間もないですが健康的でストレスない赤牛を育てるためにしっかり与えていこうと思っています。」 記者「尊敬している方や師匠はいらっしゃいますか?」 赤尾さん「私の畜産への情熱は、祖父から受け継いだものです。祖父は赤牛の品種改良に成功し現在の赤牛の品質を確立させました。元は井芹系と赤尾系の2種類の赤牛がいて、その赤尾系は私の祖父が育てた系統になります。赤牛の礎を築き、牛の改良に尽力した姿は尊敬に値すると思っています。その精神は今も私たちの仕事の中心にあり、彼の教えを受け継ぎながら、牛たちの健康と幸せを追求しています。祖父の努力と献身は、私たちが今日持っている赤牛の品質の高さに大きく貢献しており、私にとって大きな尊敬の対象です。」 記者「赤尾さんが目指す畜産の未来像とは何ですか?」 赤尾さん「私たちの目指す未来像は、牛たちがより自然に近い環境で健康的に育つことです。そのためには、日々の観察とケアをさらに細やかに行い、牛一頭一頭のニーズに応えていくことが重要です。また、祖父から受け継いだ改良への努力を続けながら、持続可能で動物福祉に配慮した畜産を実現していきたいと考えています。」
Reporter: "Any items or tools related to livestock that you would recommend?"
Akao: "I don't usually use additives, but if I had to recommend something, it would be "Asode," a product made from Aso's red soil. Asode is a product that helps the calves properly ingest iron. Since I started using it, my calves' soft stools have become firmer. I've only just started using it, but I'm going to feed it to them regularly to raise healthy, stress-free Akaushi cattle." Reporter: "Do you have a mentor or someone you respect?" Akao: "I inherited my passion for livestock from my grandfather. He succeeded in improving the breed of Akaushi cattle and established the current quality of Akaushi cattle. There were originally two types of Akaushi cattle, the Ikeri type and the Akaushi type, and the Akaushi type was the lineage that my grandfather raised. I think that he is worthy of respect for his efforts in building the foundations of Akaushi cattle and improving them. That spirit is still at the heart of our work, and we are pursuing the health and happiness of our cows while inheriting his teachings. My grandfather’s hard work and dedication have contributed greatly to the high quality of Akagyu beef we have today and I have great respect for him. " Reporter: "What is your vision for the future of livestock farming, Mr. Akao?" Akao: "Our vision for the future is for cows to grow up healthy in an environment closer to nature. To achieve this, it is important to observe and care for them more meticulously on a daily basis, and respond to the needs of each individual cow. We also want to continue the efforts to improve cows inherited from my grandfather, and realize a sustainable livestock farming method that takes animal welfare into consideration." 観察から生まれる信頼
記者「赤牛を育てる際のポイントや、黒毛和牛との違いについて教えていただけますか?」
赤尾さん「赤牛と黒毛和牛の間には、確かに少々の違いがあります。赤牛は比較的育てやすいとされています。それに対し、黒毛和牛は少しデリケートで、体調面で弱いところがあるため、より細やかなケアが必要になることがあります。赤牛の方が、少し強健で、日々の管理がしやすい傾向にあります。」 記者「赤尾さんの座右の銘は何ですか?」 赤尾さん「私が最も大切にしているのは「観察力」です。毎日の観察を通して牛の健康状態を把握することが、畜産業で成功するための鍵です。観察力があれば、牛の小さな変化も見逃さず、適切な対応をとることができます。」 記者「観察力を養うために重要なポイントはありますか?」 赤尾さん「観察力を養う上で最も大切なのは、牛の目の輝きや動きを日々チェックすることです。生き生きとした目、活発な動作は健康の証。逆に、何か異常があれば、目の輝きが失われたり、動きが鈍くなったりします。これらの細かな変化に気づくことが、牛の健康管理には不可欠です。」
Reporter: "Could you tell us the key points to consider when raising Akaushi and the differences between them and Kuroge Wagyu?"
Akao: "There are certainly some differences between Akaushi and Kuroge Wagyu. Akaushi is considered relatively easy to raise. Kuroge Wagyu, on the other hand, are a little more delicate and have weaker physical conditions, so they may require more meticulous care. Akaushi tend to be a little stronger and easier to manage on a daily basis." Reporter: "What is your motto, Mr. Akao?" Akao: "The thing I value most is observation. Understanding the health of cows through daily observation is the key to success in the livestock industry. If you have good observation skills, you will not miss even the smallest changes in the cows and will be able to respond appropriately. Reporter: "Are there any important points to cultivate observation skills?" Akao: "The most important thing in cultivating observation skills is to check the cows' eyes and movements every day. Lively eyes and active movements are proof of health. Conversely, if there is something wrong, the eyes will lose their shine and the movements will become sluggish. Noticing these small changes is essential to managing the health of the cows." アソード
アソードの持つ腸内の硫化水素ガスを吸着する効果で腸内環境が良くなり、子牛の軟便に締まりが出てきたそうです。
今後は毛並みの変化や状態の改善を見ていきたいと話していました。
The effect of Asode in absorbing hydrogen sulfide gas in the intestines has improved the intestinal environment, and the calves' soft stools have become firmer.He said that he would like to observe changes in the coat and improvements in condition in the future.
Writer_T.Shimomuro
株式会社ASO塚本ファーム
熊本県 阿蘇市 親牛:9頭、肥育牛:110頭 取材日:2023年8月31日
はじめに
畜産業において、健康な牛を育てるためには獣医さんのサポートだけでなく、正しい知識と情熱が必要です。今回取材した株式会社ASO塚本ファームでは代表の塚本さんの畜産経験と彼の肉作りへの情熱に迫り、特に下痢の予防と対策について論文をもとに詳しくお話を伺いました。この記事では、畜産における論文をもとにした下痢対策と健康管理に焦点を当て、塚本さんの独自のアプローチに迫ります。
畜産への情熱と専門知識の追求
ーー生い立ちと畜産に関する論文を読むようになった背景について教えてください。
高校時代は熊本農業高校に通い農業経済科というところでパソコンや簿記の勉強を行いました。畜産については宮崎大学で学びました。食料生産科学科に進学し、畜産と植物について学びました。院まで進みましたがそちらでは教育関係を学び、卒業後は音楽関係や自動車関連の仕事に就きましたがその後、故郷の熊本に戻り、農業高校で教鞭をとりました。その後仕事を辞めるタイミングで結婚、令和3年に家業を継ぎ今に至ります。 自分で営む上で、獣医さんに頼るだけでなく自分で正しい知識を身に付けなくてはいけないと思い論文を読む機会が増えました。周囲でBRDCの蔓延も相まって本気で勉強を始めました。論文はとっかかりは難しく感じるのですが実はシンプルな文章なので意外と読みやすいものですよ。 下痢に対する実証されたアプローチ
ーー畜産農家の方々が一番悩まれているものとして「下痢」があげられると思うのですが、論文をもとにした下痢の予防や対策について教えていただけますか?
子牛の成長の仕方、つまりは内臓の成長の仕方が健全であるかどうかというのが一つのポイントですが、健全であるという前提で考えたら季節的なものであったり病気が考えられます。しかし、分娩後すぐに下痢するようであれば母牛への餌の与え方(健康状態)が原因でほぼ間違いないです。母牛に与える餌の設計を見直してみるのがいいでしょう。 その後の話になると胃の中の柔毛の発達の度合いが子牛の消化能力に大きく影響を及ぼすことが分かっているので、柔毛を早く発達させるために早めに固形物を食べさせたほうがいいです。生まれて1週間以内に固形のスターターを食べさせる農家さんもいらっしゃいます。 第一胃はそういう固形物を柔らかくしたり消化する部分で、吸収するための胃は第四胃になります。ですので飲んだ乳を吸収するのは第四胃が発達していれば十分です。第一胃の柔毛の発達ができないまま育つと、餌を食べるようになったタイミングでほぼ確実に下痢をします。だから餌を増やしていくという段階の前にお腹の中を作ってあげるという取り組みが大事ですね。 ーー生育段階がもっと進んで子牛が下痢をしたらどうですか? 基本的に餌の設計の見直しを行うべきかなと思います。濃厚飼料と粗飼料は何をあげてるか?その量、バランスなど微妙な変化でお腹の中のpH値が変わってしまい慢性的な下痢を引き起こしてしまいます。牧場自体が下痢体質の繁殖農家は市場でも下痢しますし、せりで落とされた先でもずっと下痢をします。ひどい子は1ヶ月以上続き何をしても治らないです。そうなると1ヶ月や2ヶ月ぐらいじゃ戻らないことがほとんどです。いかに餌を食べ始める段階で餌の設計を確立できるかが重要ということですね。原因が牛舎の環境(菌やウイルスなど)という場合もありますけどね。 ほかにも飲み水の温度は下痢にかなり影響してきます。冷たすぎたり、ヒーターでお湯が出るようにされてない農家さんでは飲水量がかなり減ります。また、飲んでもお腹を壊しがちです。飲み水の温度のケアも非常に重要です。 ーー下痢を効果的に対策する方法などはありますか? 私が調べた中で一番いいなと思ったのが乳酸菌系添加剤+オリゴ糖+ミネラル系の添加剤の組み合わせですね。乳酸菌とオリゴ糖の組み合わせというのが菌を働かせるうえですごく効果的な組み合わせなんです。プロバイオティクス(乳酸菌)と、プレバイオティクス(乳酸菌の栄養源であるオリゴ糖)を組み合わせたシンバイオティクスを摂取することが牛の腸内環境を整える鍵になります。シンバイオティクスは感染症を引き起こすような悪い菌が腸内で異常増殖するのを抑えたり、腸のバリア機能を改善してくれたり、私たち人間の腸活でも注目されています。牛の下痢は、菌がルーメン(第一胃)のpH値を変えてしまうことが原因で起こることが多いですが、シンバイオティクスを与えることで腸内環境の急激な変化を防ぐことが期待できるため、pHの変化に対して緩衝的に働いてくれるシンバイオティクスは下痢の予防にぴったりです。ミネラルは各成分で様々な役割があります。例えばシリカにはいろんな悪いものをこし取る性質があったり、アソードに含まれる酸化鉄は腸内の悪いガスを吸着するので悪玉菌の発生を抑制したりなど成分によって様々です。そういった1つ1つの機能を総合的に見て、この組み合わせが一番いいなと私は思います。 個性豊かな美味しい肉の追求
ーー塚本さんの農場の今後の展望や思いを教えていただけますか?
私たちは肉本来の味わいにとことん追求した「本当に美味しい肉」を作りたいと思っています。肉の質を高めること、つまりアミノ酸などの旨味成分を高めていくことは非常に難しい技術です。何度も試行錯誤を重ね餌の配合を変えたり試食したりを繰り返し、ようやく旨味を高めることに成功しました。今後は新たに加工場を設立して肉の提供をしていきたいですね。その際ブランド名はあえてつけず、その子たちその子たち1頭1頭の個性を楽しんでもらう取り組みをしていきたいですね。 編集後記
美味しい肉の秘密は牛たちの健康から始まります。自ら作り上げる農場だからこそ、正しい知識を自ら習得し活用する姿は取材していて大変感銘を受けました。また、牛たちの個性を活かし、ブランド名に頼らず、一頭一頭の個性を楽しむアプローチは他に類を見ない発想で面白さを感じました。塚本さんの取り組みが美味しさを求める人々に新たな感動を提供し続けることでしょう。
ハエたたき
塚本ファームには不思議とハエがあまりいません。これも論文に基づく仕掛けがあるのかと思いきやこれはすべて人力なんだそうです。愛用のハエたたきで毎日ハエから牛たちを守っているそうです。
Writer_T.Shimomuro
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概要和牛農家に3プライドを取材しました。 ■取材日時■
8月 2026
■アソード効果一覧■
すべて
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