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農事組合法人 霧島第一牧場 福島力
鹿児島県 霧島市 搾乳牛:210頭、乾乳牛:50頭、子牛:140頭 取材日:2025年11月28日
牛舎で見つけた、自分の生きる場所
記者「福島さんがこの霧島第一牧場に就職されたきっかけについて教えていただけますか?最初から畜産を志されていたんでしょうか?」
福島さん「いえ、もともとは酪農に興味があったわけではないんです。40歳を迎えるにあたって、人生の後半を本気で取り組める仕事を探していたんです。前職を辞めた矢先にコロナが始まり、県外での就職も難しくなった中、両親の知人が営む牧場に声をかけてもらって手伝うようになりました。最初は軽い気持ちで行ったんですが、牛と接するうちにどんどん惹かれていって、気づけば後継者として本格的に働く決意をしていました。」 記者「そこから今の霧島第一牧場に移られた経緯はどういったものだったのでしょうか?」 福島さん「前の牧場で2年間働いていた時、濡れ子牛を引き取りに来た業者さんから『第一牧場に用事があるから一緒に行ってみないか』と誘われて、見学させてもらったのが始まりです。全てが新鮮でロボット搾乳なども初めて見る技術ばかり。どうしてもここで働きたいと思い、アポなしにもかかわらずその場で面接を申し込みました。結果的に採用され、今に至ります。酪農を深く学びたい、自分の中にある“牛と共に生きる”という思いをもっと追求したいという気持ちが強くなったんです。」 記者「“牛と共に生きる”という言葉が印象的ですね。その思いはどこから来ているんですか?」 福島さん「僕にとって“牛と共に生きる”っていうのは座右の銘でもあり、人生のテーマなんです。毎日牛たちと過ごし、観察し、少しの変化にも気づく。彼らの命と向き合いながら、生活の中に溶け込むような感覚が僕の理想です。一方で、複数人での作業や価値観の違いなど、チームで働くことの難しさも痛感しています。だからこそ、技術だけでなく人との協調性やコミュニケーションの重要さを第一牧場で強く学びました。」 “どうやるか”より“なぜやるか”
記者「福島さんの酪農に対するこだわりについて教えてください。」
福島さん「僕のこだわりは『観察』ですね。霧島第一牧場で働きだした初日に、牛がパーラーで挟まってしまう事故が起きたんです。その時みんなでロープを使って救出したんですが、あの経験が観察の重要性を強く感じるきっかけでした。それ以降、僕は毎朝の見回りを欠かさずやっています。ちょっとした異変、水の出方やエサの減り方、牛の立ち方や目の輝きなど、小さなサインに早く気づけるかどうかが命を左右します。今では習慣になっていて、やらないと落ち着かないくらいです。」 記者「その“毎朝の見回り”を習慣にするって、簡単なことじゃないですよね。福島さんはどうしてそれを継続できているんでしょうか?」 福島さん「やっぱり一番は“目的が明確だから”だと思います。僕にとっては、生乳を届けるという使命があって、それがぶれてないから続けられるんです。ダイエットもそうですよね、ただ“痩せたい”だけじゃなく、“痩せた自分で何がしたいか”が見えてないと続かない。僕の場合は、“牛と共に生きる”という人生のテーマがあって、観察はその延長線上にある日課なんです。だからやらないと気持ちが悪い、くらいにまでなっています。」 記者「なるほど。では、その習慣を他のスタッフにも広げていくために、意識されていることはありますか?」 福島さん「人それぞれの“やる気スイッチ”が違うので、強制せずに、“なぜそれをやるのか”を一緒に考えるようにしています。たとえば若い子が担当の牛の出荷日を覚えていなかった時、ただ叱るんじゃなくて、“出荷に向けてどんな準備が必要だったっけ?”と問いかける。そうすることで、結果だけじゃなくて、過程に興味を持ってもらえるようになります。僕の知識や経験は財産ですが、それをただ教えるだけじゃ意味がない。自分で考えて動けるようになってほしいと思ってます。」 記者「福島さんの話からは、“目的意識”が常に根底にあるように感じますが、それでも時には心が折れそうになることもありますよね?」 福島さん「ありますよ、もちろん。でも僕には“後がない”という覚悟があるんです。離婚も経験して、40歳を機に“自分の人生を生き直す”と決めた。だからもう戻る場所もないし、この道しかないって思ってる。そういう意味では、マイナスが原動力になってる部分もありますね。人に勝ちたいとか、結果を出したいっていう気持ちもありますけど、結局は“自分が決めた道で生きていく”っていう意志が一番強いです。」 記者「“自分で決めた道で生きる”という言葉に重みを感じます。最後に、これから畜産の世界を目指す若い世代に伝えたいことがあれば、お願いします。」 福島さん「動機は何でもいいと思います。“都会が合わない”でも、“動物が好き”でも。ただ、自分に“何かしらのテーマ”を課してほしい。抽象的でもいいから、“こういう人間でありたい”という思いがあれば、そこに向かって続けていけるはずです。そして、失敗してもいいから“自分で考える力”を育ててほしい。マニュアルに頼らず、目の前の命を自分の目で見て、自分の判断で動ける人が、やっぱり強いと思います。」 牛と人と、信念と共に生きる
記者「福島さん、まずは“アソード”を導入したきっかけについて教えていただけますか?」
福島さん「正直、僕はネットとかSNSとかに疎くて、自分から情報を取りにいかないタイプなんですよ。だからアソードのことも全然知らなかったんです。でも営業の方が直接来てくれて、話を聞いて初めて存在を知りました。『そんなにいいものがあるのか?』と半信半疑ながらも、まずは試してみようと思って、今年の10月15日から導入を始めたのがきっかけですね。」 記者「実際に使ってみて、牛たちの変化や効果を感じられたことはありましたか?」 福島さん「ありましたね。まず、与える量は変えずに1ヶ月やってみたんですが、8〜9割の牛がちゃんと舐めてくれて、明らかに活力が出てきたのを感じました。季節要因もあるかもしれませんが、それだけでは説明できないくらい、毛並みが良くなったり、便の状態が安定したりと、目に見える変化があったんです。特にブラッシングをした時の手触りが変わったり、目の輝きが違うなと感じることも多くなりました。」 記者「他の添加剤と比べて、“アソード”ならではの特徴や違いはどういったところに感じましたか?」 福島さん「一番は“単体で与えても舐める”っていうところですね。他の添加剤だと飼料に混ぜて与えるのが普通ですが、アソードは単体でもしっかりと嗜好性が高くて、牛たちが自分から寄ってきて舐めてくれる。これはすごいと思いました。特に自然界にあるものに触れられない牛たちにとって、アソードの成分は本能的に“必要なもの”として感じているのかもしれませんね。」 記者「なるほど。他にも変化を感じられた点があれば教えてください。」 福島さん「例えばホルスタインの白い部分が茶色くくすんでいた牛が、気づいたら真っ白になってたんです。最初は気のせいかと思ったんですが、他にも同じような牛が何頭もいたので、“これは肝機能の改善なのでは?”と感じました。血流が良くなったり、体内の代謝が上がったのかもしれません。あと、下痢をしてもその原因がはっきり分かるようになってきましたね。“アソードを食べているのに下痢をしたということはコクシジウムかな?”とか、ストレス以外の別の要因の特定が早くなってきた気がします。」 記者「それは大きな変化ですね。哺育の現場でも効果を実感されていますか?」 福島さん「めちゃくちゃ感じてます。特に哺育牛は育成のスタートを担う大事な時期。体調不良やちょっとした不調も見逃せません。でもアソードを与えてからは、全体的に元気な子が多くなって、毎日のチェックが楽になりました。夕方の見回りでも“少し下痢気味だけど元気だな”っていう子が増えて、スタッフも管理しやすくなってます。これって、ものすごくありがたいことなんですよ。」 記者「今後、アソードをどのように活用していきたいとお考えですか?」 福島さん「重曹の代わりに与えてみたり、自由に舐められるように設置したり、もっと実験的にやっていきたいですね。それと、1年間かけて1頭1頭に与えて、その成長記録を取ることで、説得力あるデータができると思うんです。せっかく良いものを使ってるんだから、ただ『いいかも?』で終わらせるんじゃなく、ちゃんと目的を持って続けたいですね。」 記者「最後に福島さんの座右の銘、“共に生きる”という言葉に込めた思いについて、改めて教えてください。」 福島さん「僕にとって“共に生きる”っていうのは、ただ牛と一緒に暮らしている、って意味じゃないんです。朝起きて顔を洗って、歯を磨いて、牛の様子を見る。飯を食ってまた牛を見る。牛と過ごすことが、完全に“生活の一部”になっているんですよ。昔出会った先輩農家がまさにそんな人で、「晴耕雨読」、晴れの日は畑を耕して、雨の日は家で道具の手入れをして、無理をしないけど、毎日牛と向き合ってた。その姿に惹かれて、自分もこうありたいと思ったんです。」 記者「なるほど。“労働”ではなく“日常”として牛と向き合うという感覚なんですね。」 福島さん「そうなんです。『8時間働いたから終わり』とか、『休日だから牛を見なくていい』って考え方ではない。牛も生き物ですから、365日ずっと変化しています。僕にとっては“仕事”じゃなくて、“共に生きてるパートナー”。だから、命に対しても、日々の積み重ねに対しても、常に正直でいたいんですよ。」 記者「若いスタッフや、これから酪農の世界に入ってくる人たちにも、その“共に生きる”という考え方を伝えていきたいですね。」 福島さん「はい。でも押しつけるつもりはありません。大切なのは、自分自身で“やりたい”と思えるかどうか。牛が好きでも嫌いでも、どんな理由でも構わない。ただ、“何のためにやっているのか”という目的を持ってほしいんです。僕も40歳を越えて、一から酪農を始めて。“もう後がない”っていう覚悟でこの道を選びました。そういう人間の言葉だからこそ、伝わることもあると思うんです。」 記者「“共に生きる”という座右の銘には、牛だけでなく、人との関わりや、自分の生き方そのものが込められているんですね。」 福島さん「まさにそうです。牛と共に生きる、人と共に生きる、自分の信念と共に生きる。全部つながってるんです。酪農はチーム戦です。僕ひとりでは何もできない。だから仲間とも、“同じ方向を見て働く”という意味で、共に生きていきたい。自分の理想を形にしていくためにも、そういう仲間が増えていく現場を作っていきたいですね。」 金ぐし
金ぐしは、単なる掃除用具ではなく、牛と人とのコミュニケーションを深める役割も果たします。特に子牛の頃から使用することで、人に慣れさせ、穏やかな性格を育む手助けになります。体を優しくなでながら声をかけることで、牛は安心感を覚え、次第に人を信頼するようになります。使い方次第で牛の行動にも良い影響を与え、安全で快適な飼育環境づくりに貢献しています。技術以上に、愛情と習慣が重要とされるこの道具は、酪農における人と牛の絆を深める大切なアイテムです。
アソード
牛の健康と嗜好性を両立させた添加剤「アソード」は、単体でも牛が自ら舐めたがる高い魅力を持ち、導入後すぐに毛艶や便の状態、目の輝きなど目に見える変化を実感できます。自然界のミネラルに近い成分構成が、牛の本能的な必要性に応えることで、特に哺育期の健康管理が格段にしやすくなります。また、肝機能や代謝の改善が見られるなど、体内バランスへの好影響も期待できる製品です。使用量の工夫や継続的な観察により、より効果的な運用が可能になります。
Writer_T.Shimomuro
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概要酪農家に3プライドを取材しました。 ■酪農家一覧■
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■取材日時■
11月 2025
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